2017年5月8日月曜日

空振りに終わった苦肉のスタメン

5月7日の試合
広島 000000000-0
阪神 0020301X-6

勝 能見1勝2敗 負 九里2勝3敗 


先発の九里が6回もたずに5失点で降板。
いよいよ先発陣が総崩れの様相を呈して来た。

4回に先制された2失点は、またしても先頭打者への四球がきっかけとなった。
これでもかこれでもかのカープ投手の“四球失点だ”。

四球=失点=敗戦

が、いまはもうカープの方程式と化した感すらある。

打線も元気なく、今季4度目の0封負け。

これでカープは対タイガース戦3連敗。
同一カード3連敗は、2年ぶりのことで、昨季は一度もなかった。

3連敗も、今季すでに2度目。
ぼちぼち嫌な記録が顔をのぞかせはじめた。

                       *

前の試合で破綻したオーダーをテコ入れして、この試合では上のような先発オーダーを組んだ。

打撃は好調ながらセカンドで痛恨のエラーをした西川がはずれ、かわりに安部が二塁にまわった。
レフトには「練習で好調だった」という堂林。
「使ってみたかった」という緒方監督の“親心起用”で今季初スタメンとなった。

空いた三塁には、こちらも初スタメンのペーニャ。
一塁はにベテランの新井がもどって5番に入った。

この苦肉ともいえるオーダーの「結果が問われるシーン」が初回からやってきた。

1番田中がタイガース先発の能見から、レフトへ流し打ってのワザありのヒットで出塁。
2番打者だから2番目にはまわってくるわけだが、堂林にいきなり真価が問われる場面が用意された。

ここは送りバントかと思ったが、首脳陣は強攻策を採った。
練習で好調だった堂林に賭けて、いっきにチャンスの拡大をねらったということだろうか。

しかし堂林は期待に応えられず、あえなく空振りの三振。
ワンバウンドの、いわゆる“クソボール”に釣られて手を出してしまった。

結果を求めすぎ、ヒットをほしがりすぎてのスイングだったのは明らかだった。
ついでに書いておくと、この日の成績は4打数0安打3三振。緒方監督の期待に応えることはできなかった。

ということで2番堂林の起用は、三振。

どうみても堂林は2番タイプではないと思うので、できることなら7番あたりで気楽に打たせてやってほしかったのだが…。

                       *

せっかくだから、このメンバーだったらどのように打順を組むか。
極私的先発オーダーを考えてみた。

 1番 遊撃 田中
 2番 中堅 丸
 3番 右翼 鈴木
 4番 一塁 新井
 5番 二塁 安部
 6番 三塁 ペーニャ
 7番 左翼 堂林
 8番 捕手 會澤
 9番 投手 九里

丸の2番は消去法。かつて2番を打っていた経験値に期待してのものだ。

彼を3番から2番にしたため、そのまま打順を前倒した。
それで新井が4番目にもどった。

これはいきがかりでの結果だが、前試合で歯止めなき大逆転負けして“チュン太郎”になってしまった翌日でもあるので、気合いを入れる意味からもベテランの4番復帰は悪くはないと思う。

ペーニャは6番。
なんといっても初スタメンだ。これも「お気楽に」という配慮だ。

読めない選手を入れて打線のつながりを切りたくない、ということもってあって5番は好調の安部。能見には相性がよくないようだが…。

                        *

さて、試合のほうは堂林の打席で田中が二盗した。

ここから3番の丸、4番鈴木が連続四球で1アウト満塁となって、4試合ぶりに先発出場の5番新井に打順がまわってきた。

……。

しかし新井も、あえなく空振りの三振。
堂林と同じく、フォークがワンバウンドした“くそボール”を振っていた。

あの打席、初球は打ち頃の絶好球だったように見えた。
それを見逃したのに、彼の“迷い”のようなものを感じた。
勝負勘が鈍っているようにも見えた。

解説のK氏もいっていたが、新井は少し休ませ過ぎかもしれない。
まだ終盤どころか夏場にもなっていない。
まだ「疲れがたまる」時期でもないだろう。

グラウンドを離れ過ぎては、勝負勘が鈍って当然だ。
一度調子を落としてしまったら、それをもどすには休んだ時間の何倍も要することになるだろう。

“長期休養”の弊害が心配だ。

さて、5番のペーニャにもチャンスはまわってきた。
6回表、ノーアウト一二塁の好機。

そのペーニャも初球の難しいボールに手を出してセカンドへの凡フライの結果に終わった。

苦肉のスタメンだったが、結果的にはキーマン3人は3者三振。残念ながら機能することはなかった。

菊池の不在から生まれた、オーダーのヒビ。
これを修復しようとしているうちに、すべてが後手にまわりはじめたようにみえる。

いまのカープに残念ながら『2番セカンド菊池』にかわる選手はいない。

ついこの前までは、だれが抜けても、どの選手がベンチを暖めても、かわりがいくらでも現れる層の厚さに感心していたが、それはチームに勢いがあってこそのことだった。

ひとたびそれがしぼんでしまえば、厳しい現実が顔をのぞかせてきた。

菊池はつぎの試合からは復帰するらしいが、投手陣の弱体化もあり、しばらくは我慢の試合がつづきそうだ。

2017年5月7日日曜日

菊池のいない“堤防”の脆さ

5月6日の試合
広島 220230000-9
阪神 000131X-12

勝 高橋1勝1セーブ Sドリス2敗12セーブ 負 薮田1勝1敗 

本塁打 丸5号

“逆転のカープ”が屈辱的な大逆転負けを喫した。

9点差をひっくりかえされての敗戦は1995年7月30日の中日戦以来22年ぶりだという。

まさに歴史的な事件、空前絶後ともいえる大敗。
その原因は、いろいろあげられるだろう。

岡田投手の突然の乱調。
継投の失敗。
中継ぎ陣の崩壊。
西川選手の手痛いエラー。
……

思いつくだけでも、これだけの理由があげられる。
これらが積み重なって、カープは信じられないような大敗をしてしまった。

ところが、タイガースの勝因がまったくわからない。

プロ初先発の福永投手が、ほとんど試合をつくれずに序盤に大量失点してノックアウト。
中押し、ダメ押しされての9点差。
集中力がきれたかのように繰り返されるエラーと、覇気が感じられない攻撃…。

完全に負けのスパイラルに飲み込まれてしまって、どうみても負けるしかない戦い方をタイガースはしていた。

それが気づいてみれば、あれよあれよという間に1点差まで詰め寄り、最後の最後にはカープを突き放してゴールしてしまった。

勝てない試合、あえていえば「勝ってはいけない試合」をタイガースは勝ってしまった。そんな当惑すら感じている。

1、2回に2点ずつ入れてカープが4点先攻した時点では勝利を確信して、先発の岡田投手をどのように褒めようか、そればかりを考えていた。

大学時代に地下足袋を履いてのトレーニングもしていたと小耳に挟んだので、その意識の高さについて書いてみようか、なんてノーテンキなことを思っていた。

そうだ、せっかくだからこの映像を紹介しよう、とか。(笑


                       ❉
ところがその岡田投手が5回に突然、荒れ出した。

「この点差だ。さすがに集中力が、一瞬切れたのか。」

メモにこう記した。
もちろん勝敗には関係なく、備忘録の経過メモだった。

そして6回。

「ここまでまったく合っていなかった中谷に四球。インコースへの抑えの効かなかったボール。
前の試合の加藤投手のリプレイを見ているようなボールだった。」

いやな予感の通り、

「やはり点になった。」

しかし、まだ負けるなどとは微塵も思っていない。

「勝つには勝ったが、あまり喜べない勝利だっただろう。」

などと結びのフレーズを、こうしようと決めてさえいた。

ところが6回のタイガースの攻撃が、いよいよ勢いをましてきた。

「とうとう泥仕合いになった。」

「西川がまたまずいエラー。菊池の不在が大きい。」

「これがタイガースの強さなのか。
あれだけのヘボをして大量点で負けていながら、じわじわと押してくる。」

そして6回のタイガースの攻撃が終わった時点でカープのリードは1点。

ここではじめて、負けを覚悟した。
と同時に当惑は膨らむばかりだった。

「まったくわからない。
(タイガースファンの)スタンドの異様な雰囲気か。
“応援が力になりました”
カープのヒーローインタビューで耳にする定番コメント。
まさにそういうことなのだろうか?」

                         ❉

こうまとめてみると、時系列で心境の変化が読み取れるが、やはりタイガースが勝ったこれという理由はみあたらない。

あえていえば、好調梅野選手がタイムリーであげた1点。
この小さな穴がカープ9点リードという“堤防”を決壊させてしまったということなのだろうか。

「得体の知れない強さ」を見せつけられたというしかない。

こんな相手とのデッドヒートがつづくのだ。
なかなか大変な事態になってきた。

これでカープは首位攻防戦に2連敗。
4月8日から守って来た首位の座から転落した。

22年前の大逆転負けの前にカープは5連勝していて、その試合の後は6連勝していた。
ジンクスにもならないただの前例だが、これが“ジンクス”になることを願おう。

繰りごとになるが、セカンドに菊池のいない先発オーダーの心もとなさを思わずにいられない。








2017年5月6日土曜日

あらためて認識した菊池の存在感

5月5日の試合
広島 010300010-5
阪神 001050X-8

勝 岩崎1勝 Sドリス2敗11セーブ 負 一岡1勝1敗 

本塁打 エルドレッド5号 6号  


菊池がスタメンを外れた。
このオーダーは前日のものとはちがって、意図してのものではないようだ。

「具体的な箇所はいえないが、コンディションを整えたいところがあった」らしく、一応“休養”ということでの欠場だった。

なので安部が2番が入って、西川が5番にくりあがってこのスタメンになった。
積極的なオプションではなく緊急事態による布陣だが、菊池がいないと「こうも景色が変わるものか」と感慨をあらたにした。

なんというのか、下着を付けずにズボンを履いているような、心もとなさというのだろうか。

菊池の代わりに2番に入った安部は現時点で打率.375で、規定打席に満たないが打率1位の坂本と肩を並べている。
盗塁は8個でトップだ。

菊池に遜色ないどころか、打率248、盗塁2の彼を数字的には上回っている。
それでもどこか物足りなく感じてしまうのは、「おさまり」ということなのだろう。

エルドレッドのホームランのように、よく試合の流れを変えてしまう1発というものがある。
その例にならえば、ゲームの雰囲気を一変させてしまう守備というものがある。
いうまでもなく菊池の超人的なプレイ、守備がそれだ。

また彼には、攻撃でも「なにをしでかすかわからない」という期待感がある。
2番にその菊池がいる打線。それがカープの強さであり魅力でもある。

結果論になるが、菊池がいない布陣でカープは負けた。

カープ先発の加藤が5回に先頭打者の高山の背中にボールをぶつける四球。ここをなんとか踏ん張って3番糸井をセカンドゴロに仕留めたはずが、セカンドに入った西川がファンブルして一、二塁にランナーを残してしまった場面があった。

ゲッツーを焦ってのことだったのだろうが、取らなければいけないところで取れないのと、信じがたいプレイでゲッツーを取ってしまうのとでは雲泥の差だ。

案の定というかお約束というか、浮き足立った加藤はここで4番の福留に四球を与えて、1アウト満塁のピンチを迎えてしまった。

幸い継投の中田が後続を抑えて事無きを得たが、西川のエラーが試合の流れに水を差してしまったことは否めない。
その時点ではまだ4対1でカープはリードしていたが、ここでカープは守勢に転じてしまった。

そして次の6回に2失点して1点差に迫られ、7回には5点のビッグイニングで逆転されてしまった。

                     *

ゲーム途中のメモには、つぎのように記してあった。

打順を上げてクリンナップに食い込んだ西川が、(タイムリーヒットと)結果を出せば、エルドレッドがひさびさスタメンで2打席連続ホームラン。

用兵が冴え渡り、起用がことごとく当たる。
そろそろミラクルの域に入ってきた。

今シーズン“神ってる”のは、名付け親の緒方監督か。

ところが4点のリードを守れずに負けてしまって、このメモはお蔵入りになってしまった。

とはいっても、この試合をぶち壊してしまったのはオーダーではない。
いうまでもなく加藤投手。そのことに異論はないだろう。

この試合で加藤投手は、気持ち力が抜けていたようにも見えた。
しかしそのフォームも安定せず、力んで高めに抜けるボールがつづいたり…。
“加藤ルール”は健在だった。

4回2アウトを取りながら、下位打線相手になぜか「急に慌ててしまった」加藤投手はいつものように四球を連発。さらに暴投もまじえてノーヒットで二、三塁のピンチを献呈。
ここで8番の梅野にタイムリーを喫っしてしまった。

5回には前述したように先頭高山を2ストライクと追い込みながらフルカウントにしてしまって、あげくが死球。

このときはマウンドで、明らかにうろたえているような表情を見せた。
その直後には、バックネット直撃かと思わせるとんでもない暴投までしている。

「このまま投げ続けていたらイップスになってしまうんではないか」
そんな心配をするほどの荒れようだった。

「期待を裏切らないピッチング」といったら可哀想だが、そういいたくなるほどの失態を彼は繰り返してきた。

そしてついにというか、とうとうというか、この日加藤投手は調整のために二軍降格となった。

「課題はわかっているが、解決策は見つからない」と、加藤投手は試合前に語っていた。

うまいことをいうもんだと、つい感心してしまったが、それだけ問題は深刻だというこだろう。
下手にフォームを矯正して、持ち味が失われてしまうケースだって考えられる。
そんな例はプロ球界では枚挙に暇がない。

彼もしばらくは出口の見えないトンネルで迷い、苦悩することになるかもしれない。

ただ、ノックアウトされて降板しても気丈にダッグアウトからマウンドを見つめていた彼の気持ちの強さがあれば、なんとか這い上がってきてくれるだろう。

「解決策は意外にシンプルでした」

そんな答えとともに彼が一軍にもどって、この日のようにスタメンに名を連ねる日が早いことを願おう。

                       *

これでカープの連勝は3でストップ。
2位のタイガースとはゲーム差1となった。






2017年5月5日金曜日

二枚目の切り札

5月4日の試合
中日 000402100-7
広島 004102X-8

勝 ブレイシア2勝1セーブ 負 三ツ間2勝1敗 S 今村1敗6セーブ 


安部がついに5番まで打順をあげて、ついにクリンナップの一角を占めた。
まさかこんな日がこようとは、想像だにしなかった。

いい意味で想像を裏切ってくれた安部選手には、エールを送りたい。

それにしても、新井が抜けてもエルドレットを温存しても、西川がいて野間がいて、いくらでも代わりがいる、というか出てきたカープの育成力恐るべしだ。

これまでも「育成のカープ」とはいわれてきた。
しかしそれは「育てるしかなかった」ことの別の表現であり、現実にもそれほど育っていた実感はなかった。

たしかに新井選手はその代表格だが、チーム全体としてレベルアップしていたかどうかは、前年優勝するまでの低迷ぶりをあらためてふりかえってみるまでもない。

しかしここに来て、本当に育ってきた。
それはいうまでもなく核になるスタメンの戦力が高いレベルでしっかりと固まってきたからだろう。

緒方監督に言わせるとこのオーダーは「もうひとつの顔の打線」というプランのようだ。
若手中心のオーダーだが、“控え選手”で組んだという消極的な選択ではなく、今後のペナントレースの戦い方を想定して、もうひとつのバリエーションを持っておきたいという積極的な発想であるらしい。

いわば「二枚目の切り札」を用意しようということで、チームに余裕があるからこそできる芸当だ。

もうひとつのスタメンはオーソドックスなものだが、このオーダーはあえて言えば「守備走塁型スタメン」とでもいうのだろうか。

かつてのカープ黄金時代は「機動力野球」がチームの看板だった。とにかくスキあらば前の塁を狙う、ソツのない野球をカープはしていた。
そして主砲の山本浩二、衣笠祥雄が率先してその野球を体現していた。

とは言っても、みんながみんな走れたわけではなく、オーダーにそれが明確に現れていたわけではなかった。

それに比べると、このオーダーを見ると「機動力」がはっきりと読み取れる。

まだそれが現実のものになっているわけではない。
またそれが一朝一夕になることはないのだろう。

この試合でも盗塁は0。いつものようにノーガードで殴り合うような戦い方だった。
しかしこのオーダーの性格、意図をチームが自覚して実践した時にはどえらいことになりそうだ。

若手中心とはいっても4番には鈴木がしっかり座っているし、下位打線にパンチ力がないわけてはない。
たぶんこのスタメンが将来は軸になるのだろうが、10年は黄金時代を築きそうな予感がする。

二塁の菊池(彼がずっとカープにいるかが問題だが)はいうまでもなく、左から野間、丸、鈴木と並ぶ外野陣はほれぼれする。
センターラインと両翼の守りは、ほぼ完璧になりそうだ。
あとは会沢捕手のキャッチングか。(笑

                       ❊

試合は足を止めての打ち合いだったが、4回の4点、6回の2点、7回の1点の失点はすべて四球絡み。それも先頭打者に与えたものだ。
逆にドラゴンズは、その四球をすべて得点に結びつけている。

こういっては失礼だが、連敗中で元気のないドラゴンズ(覇気は感じられるのだが)ですら、だ。

「つまらない四球は得点につながる」

そのことを身をもって、あらためて教えてくれたような大瀬良投手の投球ぶりしてくれた。

6回途中で降板。被安打4ながら要所で四球を配しての5失点はいただけない。
前回の登板ではすばらしいピッチングを披露してくれたが、まだマウンドでのトラウマは完全には払拭されていないようだ。

前任監督の時は、四球を出すと投手が萎縮してしまって、そのことで自滅していったようなところがあったが、この試合のように今のチームは多少のハンデは跳ね返して逆転してしまうせいか、シャレで済んでいるようなところがある。

また「攻めて出した四球は責めない」という不文律がチーム内の共有されているのかもしれない。

しかし打線の勢いはいつも、いつまでも期待できるものではない。
そろそろ失敗の経験を確かな成功に変えてほしいものだ。

何人かの投手の「四球癖」。
もしかすると、いまのカープで唯一の弱点といっていいかもしれない。

                      ❊

なにはともあれ、このカードを3連勝して前節のベイスターズ負け越しからカープは体制を立て直した。

いよいよきょうからゲーム差2で追走する2位タイガースとの“首位攻防戦”だ。

先発は「四球癖」の加藤投手。
きょうはどんな投球を見せてくれますか。

この試合の私的MVPは、同点ホームランを含む2安打2打点の西川龍馬選手


2017年5月4日木曜日

やっぱり「持っている」ユウちゃん。

5月3日の試合
中日 110010001-4
広島 002210X-7

勝 中村祐1勝 負 吉見4

  本塁打 京田1号 ゲレーロ3号

      新井5号 会沢1号

5番に新井が入り、6番には好調安部があがった新オーダー。
それがさっそく機能した。

この試合で4番の鈴木は無安打だったが、ふたりがあがったことで打線がつながった。

4回の同点となる得点は、丸が安打したあと鈴木が倒れてから新井が放った2ランホームランによるもの。
インハイのシュートを「待ってました」とばかりに、きれいにからだを回転させてレフトスタンドに押し込んだ読みがちの一発だった。

さらに7回の追加点は新井、安部の連打でつくったチャンスにエルドレッドがタイムリーを放ってのもので、ふたりを前にあげたことが功を奏した。


松山の故障離脱もあっての“ケガの巧妙”ともいえそうだが、指揮官の起用がまたはまった。
緒方監督の打つ手打つ手が、好手となっている印象は去年からつづいている。

もちろん、どのようなバリエーションでも機能するチーム力があるからのことではあるのだろうが。

                       *

“指揮官の好打”といえば、この試合で中村祐を先発させたこともそうだ。

恥ずかしながら、こちらの頭の中の一軍リストには入っていなかった投手。
ここまで二軍でも防御率4点台らしく、しかも二軍登板すら10あまりの経験しかなかったという。

それをいきなりのプロ先発起用なのだから、正直いって驚いた。

以前、由宇にいったときに感じたことだが、二軍の環境がとてもいいのだ。
ひとつのプレイごとに、また練習の合間に、試合の後に、コーチ陣が選手たちとマメにコミュニケーションをとっている。

選手の才能、状況をよく理解していて、それを生きた情報として上に伝えているはずだ。
そして、その評価を信じて指揮官が起用しているということなのだろう。

二軍で鍛えられている選手には、“旬”というものがある。
伸びしろが実力にかわって、ぐんぐん成長して上昇曲線がピークになる、まさにそのときに一軍にあげて起用しないと、なかなか選手も結果を出せない。

機は熟しているのに、そのまま腐ってしまうことにもなりかねない。

いいタイミングで起用すれば、その勢いのまま結果を出せる。
それが実績となって、選手として一本立ちしていく…。

いま一軍でスタメンを張っている選手たちは、そのようにしていまの地位をつかんでいる。
この試合の中村祐投手は、まさにそんな好例のひとりそうだ。

                     *

その意味では、いまカープは一、二軍の連携がうまくいっているのだろう。

 佐々岡二軍投手コーチ:「監督、中村祐がいいっすよ。先発いけるんじゃないですか」

 緒方監督:「そうか。ササがそういうんなら間違いないだろう」

 佐々岡:「ぜったい結果だしますよ、あいつのカーブは通用しますから」

 緒方監督:「ちょうどローテの谷間だ、使ってみよう」

こんな感じかな。

先に由宇を訪れた日には、ちょうどオスカルが一軍行きを告げられていた。
それを本人に直接声をかけて伝え、アドバイスを与える佐々岡コーチの様子を見ていた時、こんなベンチの信頼関係が伝わってきたのだった。


それにしても、プロ初登板初先発初勝利の中村祐投手には恐れ入った。

マウンドでの表情を見たとき、「これはもしかしてやるかも…」とは感じたが、その予感を現実のものにしてしまうとは。

とにかく面構えがいい。目力もある。
あと、オーラね。

五月の明るい陽光のせいもあったのか、彼のまわりだけひときわ輝いてみえた。
「持っている」ってやつだ。

5回を投げて降板した時点では、2対3と負けていた。
そのビハインドの1点も、同点にしてもらった直後にドラゴンズ京田にプロ初のホームラン献上してのものだ。

やってはいけない失点…。

それでも、その裏に野手が逆転してくれての勝利。

元祖斎藤佑樹と同じ「ユウちゃん」。やはり「持ってる」というしかない。
また、こんな僥倖が似合う好青年ぶりだ。

彼の決め球はカーブのようだが、かつて高卒新人ながら「縦に割れるカーブ」と高速ストレートで破竹の開幕15連勝をした巨人の堀内恒夫にくらべるとスピードもキレもかなり見劣りする。
しかし、彼は同じ“カーブ投手”でも、まったくちがったスタイルで結果を残せそうだ。

それがどんなものか具体的なイメージはまだ湧かないが、そんなことを期待させるなにかを彼は「持っている」ように思える。

                       *

それにしてもドラゴンズの体たらくには、目を覆いたくなる。

前の試合でビシエドが痛恨のエラーをしたばかりだが、この試合でも三塁のゲレーロのミスからカープは逆転した。

5回裏。先頭バッターの会沢のゴロをファンブルして後逸。これを二塁打にしてしまったばかりか、つづく代打天谷の投前バントをすばやく処理した吉見が三塁タッチアウトを狙って送球したボールに触ることもできずにまた後逸、ミスにミスを重ねてミスミス会沢の帰塁をゆるしてしまった。

ありえないミス。

こんな信じられないことが起こってしまうところにドラゴズ低迷の因があるのだろうし、こんなことをしていては勝てる試合も勝てない。

もし中村祐がいまのドラゴンズをバックに投げていれば、もちろんこの日のような投球はかなわなかっただろうし、初勝利はお預けになっていたことだろう。

それを考えると、同じ2013年入団の高卒投手ながら前試合で負け投手となったドラゴンズの鈴木投手が、すこし不憫に思えてくる。

健闘むなしく、味方に足を引っ張られて負け投手となった鈴木投手。
片やバックの援護に支えられ、チームの勢いにノって、ノセられてプロ初登板初先発で勝利をものにしてしまった中村祐投手。

しかも鈴木投手はドラフト1位指名。中村祐投手は5位指名での入団だ。

もしふたりの立場が逆だったら、現時点での投手生命はまったくちがったものになったことだろう。

その意味でも中村祐投手は「持っている」ということだろうか。

                        *

この日の私的MVPは追加点となる2ランホームランほかの活躍をした会沢翼捕手。“棚ぼた勝利”だった中村祐投手は、つぎの機会にお預けだ。













2017年5月3日水曜日

誠也と翔太・格のちがい

5月2日の試合
中日 000100100-2
広島 000500X-5

勝 野村2勝1敗 負 鈴木1勝2敗 S 今村1敗5セーブ 


初物を苦手とするカープ(強いチームがあるかは別として)が、初対戦のドラゴンズ鈴木翔太投手に4回まで無得点。

まったくストライクが入らないかと思えば、ド真ん中に絶好球を投げ込んでみたり、ここ最近トレンドの荒れ球投手にすっかり手を焼いていた。

その4回にはカープ先発野村投手が1失点して、先制をゆるしてしまった。
前回のジャイアンツ戦と似たような流れになって、一瞬嫌なムードが漂った。

とはいえ、この試合がそのまま終わると思ったカープファンはひとりもいなかったろう。
逆に「これで勝てる!」と狂気したドラゴンズファンもいなかったにちがいない。

現在首位のチームと、最下位にいるチーム。
いまの両チームには歴然した力の差、勢いのちがいがある。

お互いに3連戦の初戦ということで、前回のジャイアンツ菅野投手のような絶対のエース、あるいはエース級との投げ合いとなる試合。

その試合で、2013年のドラ1入団とはいえ、まだプロ未勝利の投手を起用しなければならないドラゴンズ。
はっきりいって「辛いです」。

この試合にかぎっていえば、戦う前から勝敗はほぼ決まっていたといってもいい。

「初物を苦手とするカープ」

奇襲・奇策のつもりもあったのかもしれないが、いま最下位にあるチームがこの投手起用で勝てるほどカープは甘ちゃんではない。

5回にトップバッターの田中が四球でチャンスをもらうと、『4番打者連続7試合出場』と自己記録を更新中カープの鈴木が、ドラゴンズ鈴木から同点タイムリー。
これが呼び水となって、エルドレッドがヒット、新井がタイムリーを見舞って、あっさり鈴木をマウンドから引きずり降ろしてしまった。

鈴木に変わった佐藤優からも安部と石原が連続タイムリーして、この回計5点のビッグイニング。
あっさり勝負を決めてしまった。

最終的には9安打しながら2点のドラゴンズと、8安打で5得点のカープ。
この数字にも、はっきりと勢いの差があられた。

元気のないドラゴンズ相手とはいえ、野村投手は7回を投げて被安打6の2失点と、相変わらずの安定した投球で2勝目。
2安打され締まらない投球ながら9回を締めた今村投手が5セーブ目をあげた。
そして前の8回を0点に抑えたジャクソンにもホールドが付いて8となった。

このジャクソン、まだ失点自責点がなく防御率0.00。
ここがしっかりしているが故の首位、ということもいえそうだ。

                        ❇


この試合の私的MVPは野村祐輔投手だ。







2017年5月1日月曜日

失うものを得た九里の焦り?

4月29日の試合
広島 000031023-9
横浜 200012X-10

勝 久保1勝 負 九里2勝2敗 

本塁打 (広島)西川1号 鈴木5号 

    (横浜)ロペス4号 エリアン1号 石川1号


ベイスターズとの3連戦。
最終ゲームにしてようやく、思わぬ展開ではあったが拮抗した試合となった。

序盤で『ベイスターズ圧勝!』という流れになってしまったが、カープが驚異的な粘り腰で1点差まで猛追。
ベイスターズの関係諸氏は、さぞや肝を冷やしたことだろう。

9回のカープの猛攻を前に、なすすべなく顔面をこわばらせていたラミレス監督の表情が、それを如実に物語っていた。

それにしても序盤で7点差。しかも効果的な追加点を奪われながらも終盤まで諦めることなく集中していたカープナインのモチベーションの高さには感服する。

これもペナントレースの覇者という「成功体験」がもたらした財産というものだろうか。

                      ✱

しかし、結果は9対10でカープは惜敗。
序盤の大量失点がなんとも悔やまれる。

この試合でも失点の口火となったのは、また四球だった。

初回、三振とセンターフライで2アウトを取って、順調なすべりだしのように見えた九里投手。
しかし、ここで3番梶谷に1ストライクも取れずにストレートの四球を与えてしまう。

ここまでの敗戦でさんざん「四球→失点」の局面を見せつけられてきたのだから、「おいおい、またかい」と思うのが自然。
またその通りの展開になるのが不思議で、つづく4番筒香にヒットされて一、三塁になったところで九里が暴投して、まず1点。さらに5番ロペスにセンターの頭を越されるタイムリーを浴びて2点目を献上してしまった。

「きょうは、ちょっとやばそうね」

のっけから、そんな暗雲が横浜スタジアムに漂ってしまった。

そして3回に大量失点して暗雲は雷雲に変わってしまったのだが、そのきっかけが、こんどはトップバッターの桑原に与えた死球だった。

ここでも「死球→失点」は想定できるわけで、つづく石川にレフトに運ばれたあと、よほど梶谷が嫌いなのか、九里は梶谷に連続して四球を与えてしまった。

これでは敵に、みずからお膳を立ててやったようなもの。

よく「ノーアウト満塁は点にならない」といわれるが、さすがにこんなおいしいチャンスをベイスターズが逃すわけもなく、4番筒香タイムリーのあと、ロペスにグランドスラムを喫して5失点。
0対7になって、ゲームはこの時点で決まった、はずだった。

ところが、以下省略するが、6試合連続で4番に座った鈴木の2試合連続のホームランなどが飛び出し、カープが1点差まで追い上げるすさまじい試合に。

雷雲にいつからか晴れ間がのぞいて、大型連休初日の快晴の空の下で白熱のゲームが繰り広げられるたのだった。

これぞ「実力」と「勢い」のガチンコ勝負といったゲーム。ファン冥利につきるというものだろう。
ただ両チームの投手がピリッとしない「しまりのない乱打戦」だったことは否めず、間延びした展開だったことは惜しまれる。

                      ✱

先発の九里投手は、4回7失点で降板。結果からいうのもなんだが、どこかからだが重いような、メリハリのない投球ぶりだった。

ふがいない内容に、自分に腹がたったの気持ちもわかる。
ベンチにもどると、口惜しさのあまりグラブをベンチに投げつけていた。

「そんなことをしたのは、はじめて」だったらしいが、そういえば大量失点のきっかけとなった桑原に死球を与えたときも、「わざと当たったんじゃないか」と、らしくもなく抗議のような仕草も見せていた。

「どこか気持ちに焦りでもあるのだろうか」

こちらの思い過ごしかもしれないが、彼の投球の内容にも所作にもそんな印象が見て取れた。

九里投手が先発ローテーション投手として投げるのは今季がはじめてのことだ。
いままでとは肉体的にも精神的にも、かかる負荷は桁違いのはずだ。
その疲れがそろそろピークにきているのかもしれない。

いままでは「失うものはない」と無我夢中でマウンドにあがれた九里投手にも、先発ローテーションという「失いたくないもの」ができた。

それが、守りの気持ちを生んで消極的になり、結果を出せないことに必要以上に焦りを感じる原因になっているのかもしれない。

                      ✱

これでカープは、今季2度目のカード負け越し。
その間にタイガースが忍び足で背後に迫ってきて、ゲーム差は1となった。

ちなみにこの日行われたプロ野球6試合は、すべて1点差だった。
なんでも20年ぶりの珍事らしい。