2017年5月5日金曜日

二枚目の切り札

5月4日の試合
中日 000402100-7
広島 004102X-8

勝 ブレイシア2勝1セーブ 負 三ツ間2勝1敗 S 今村1敗6セーブ 


安部がついに5番まで打順をあげて、ついにクリンナップの一角を占めた。
まさかこんな日がこようとは、想像だにしなかった。

いい意味で想像を裏切ってくれた安部選手には、エールを送りたい。

それにしても、新井が抜けてもエルドレットを温存しても、西川がいて野間がいて、いくらでも代わりがいる、というか出てきたカープの育成力恐るべしだ。

これまでも「育成のカープ」とはいわれてきた。
しかしそれは「育てるしかなかった」ことの別の表現であり、現実にもそれほど育っていた実感はなかった。

たしかに新井選手はその代表格だが、チーム全体としてレベルアップしていたかどうかは、前年優勝するまでの低迷ぶりをあらためてふりかえってみるまでもない。

しかしここに来て、本当に育ってきた。
それはいうまでもなく核になるスタメンの戦力が高いレベルでしっかりと固まってきたからだろう。

緒方監督に言わせるとこのオーダーは「もうひとつの顔の打線」というプランのようだ。
若手中心のオーダーだが、“控え選手”で組んだという消極的な選択ではなく、今後のペナントレースの戦い方を想定して、もうひとつのバリエーションを持っておきたいという積極的な発想であるらしい。

いわば「二枚目の切り札」を用意しようということで、チームに余裕があるからこそできる芸当だ。

もうひとつのスタメンはオーソドックスなものだが、このオーダーはあえて言えば「守備走塁型スタメン」とでもいうのだろうか。

かつてのカープ黄金時代は「機動力野球」がチームの看板だった。とにかくスキあらば前の塁を狙う、ソツのない野球をカープはしていた。
そして主砲の山本浩二、衣笠祥雄が率先してその野球を体現していた。

とは言っても、みんながみんな走れたわけではなく、オーダーにそれが明確に現れていたわけではなかった。

それに比べると、このオーダーを見ると「機動力」がはっきりと読み取れる。

まだそれが現実のものになっているわけではない。
またそれが一朝一夕になることはないのだろう。

この試合でも盗塁は0。いつものようにノーガードで殴り合うような戦い方だった。
しかしこのオーダーの性格、意図をチームが自覚して実践した時にはどえらいことになりそうだ。

若手中心とはいっても4番には鈴木がしっかり座っているし、下位打線にパンチ力がないわけてはない。
たぶんこのスタメンが将来は軸になるのだろうが、10年は黄金時代を築きそうな予感がする。

二塁の菊池(彼がずっとカープにいるかが問題だが)はいうまでもなく、左から野間、丸、鈴木と並ぶ外野陣はほれぼれする。
センターラインと両翼の守りは、ほぼ完璧になりそうだ。
あとは会沢捕手のキャッチングか。(笑

                       ❊

試合は足を止めての打ち合いだったが、4回の4点、6回の2点、7回の1点の失点はすべて四球絡み。それも先頭打者に与えたものだ。
逆にドラゴンズは、その四球をすべて得点に結びつけている。

こういっては失礼だが、連敗中で元気のないドラゴンズ(覇気は感じられるのだが)ですら、だ。

「つまらない四球は得点につながる」

そのことを身をもって、あらためて教えてくれたような大瀬良投手の投球ぶりしてくれた。

6回途中で降板。被安打4ながら要所で四球を配しての5失点はいただけない。
前回の登板ではすばらしいピッチングを披露してくれたが、まだマウンドでのトラウマは完全には払拭されていないようだ。

前任監督の時は、四球を出すと投手が萎縮してしまって、そのことで自滅していったようなところがあったが、この試合のように今のチームは多少のハンデは跳ね返して逆転してしまうせいか、シャレで済んでいるようなところがある。

また「攻めて出した四球は責めない」という不文律がチーム内の共有されているのかもしれない。

しかし打線の勢いはいつも、いつまでも期待できるものではない。
そろそろ失敗の経験を確かな成功に変えてほしいものだ。

何人かの投手の「四球癖」。
もしかすると、いまのカープで唯一の弱点といっていいかもしれない。

                      ❊

なにはともあれ、このカードを3連勝して前節のベイスターズ負け越しからカープは体制を立て直した。

いよいよきょうからゲーム差2で追走する2位タイガースとの“首位攻防戦”だ。

先発は「四球癖」の加藤投手。
きょうはどんな投球を見せてくれますか。

この試合の私的MVPは、同点ホームランを含む2安打2打点の西川龍馬選手


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