2017年5月13日土曜日

野球人生も、色々。

先の5月10日に開催した第6回カープ学講座の模様をアップしました。

ゲスト講師の元広島東洋カープ投手の大島崇行さんの、とぼけた味がナイスです。

2017年5月12日金曜日

あらためて思いいたった黒田博樹の不在

5月11日の試合
広島 001100010-3
東京 01120305X-12

勝 石川3勝3敗 負 福井1勝1敗 

本塁打 エルドレッド8号

ふがいない若手投手陣にかわって11日ぶりに1軍マウンドにあがった福井投手だったが、毎回のように失点を重ねて6回7失点。
先輩の意地を見せることはできなかった。

継投した高橋樹投手も、ようやく“プロの洗礼”を受けることができて2回5失点。
計12失点でカープはスワローズに大敗した。

この大盤振る舞いで、ついにカープのチーム防御率は4.11に急上昇し、かわりに成績はリーグ最低となった。
5月11日の試合で防御率を4.11に帳尻を合わせるとは、「さすがカープ、神ってるね」と黒いジョークのひとつもいいたくなるほど、ここ最近のカープ投手陣のふがいなさは目に余る。

すこし前の低迷期に、また舞いもどってしまったかのような体たらくだ。

チームに勢いがあて勝ちに勝っていたために、こちらも見過ごしていたのだったが、じつはペナントレースの序盤から投手陣は盤石ではなかったということだろう。

打線の援護でなんとか勝ち星を拾いながら持ちこたえてきたようなところがあって、実際は綱渡りをしていたのだった。

ジョンソン、野村をのぞけば、大瀬良、九里、岡田、中村祐という若い投手で組んだローテーション。読めない出来と、のびしろという期待値に期待しすぎたツケがまわってきたとしかいいようがない。

それをいうならどのチームだって盤石ではなく五十歩百歩なのだが、いかんせんこの事実の前にはそう嘆かざるを得ない。
もちろんこのままの成績で終わるとは思いたくはないが、意外に修正は難しいかもしれない。

                        ✱

折も折、ペナントレースの中休みとなるオールスター戦のファン投票もはじまったことでもあるし、ここで現状をおさらいしておくのもいいかもしれない。

チーム成績は、このようになっている

       勝 敗 引 勝率   得点  失点   本 盗 打率   防率
 1位 阪神 20 12 0 .625 140 118 18 17 .255 2.94
 2位 広島 20 15 1 .571 178 161 33 29 .274 4.11
 3位 讀賣 18 15 0 .545 120 104 26 19 .253 2.86
 4位 横浜 16 16 2 .500 128 141 24 12 .246 3.78
 5位 東京 14 20 0 .412 120 134 17 13 .241 3.53
 6位 中日 11 21 3 3.44 108 109 21 19 .243 3.54

問題の防御率を見てみると、カープのみが4点台。最下位のドラゴンズでも3点台中盤で納めていて、カープのそれは異常に高い。

カープをはさんで1位、3位にいるタイガースとジャイアンツの防御率2点台には、目を見張るものがある。
その数字ゆえの上位ということだ。

逆に4.11の数字でカープが2位にいるのが不思議だが、もちろん理由がないわけではない。

打撃成績を見ればそれは一目瞭然。
得点、本塁打、打率ともにカープは突出している。盗塁も29個と他を圧している。
攻撃陣についていえば、まず文句のつけようがない。

とにかく打ちに打ちまくって、なんとかこの地位にカープはいるのだ。
いまチーム内で野手陣と投手陣との間に、気まずい空気が流れているであろうことは容易に想像がつく。

投手陣で防御率ベスト10入りしているのは2.25の野村ひとり。彼につづくのが3.73の岡田、4.10の大瀬良というのだからお寒いとしかいいようがない。

最下位のドラゴンズですら、ベント10にふたり入っているし、首位のタイガースなど、メッセンジャーひとりながら防御率2点台が3人そろっている。

もちろんこの惨状にジョンソンの離脱が大きく響いていることは否めないが、想定外の不可抗力はどのチームにもいえることだろう。

いま沈没している若手投手たちも、結果が出せなかったわけではなかった。
潜在能力はあるはずだ。
それをどのように引き出すか。それは本人の自覚はもちろんだが、コーチ陣の手腕も問われている。

ふと思い返せば、きょねんの優勝を前に東出がコーチ陣に加わり河田コーチが復帰してあきらかにスキルアップした野手陣に対して、投手コーチはほとんど顔ぶれはかわらなかった。

もともとこころもとなかったコーチ陣だったが、黒田がブルペンコーチとして影に日向にピッチングスタッフの精神的な支えとなり技術的なアドバイスをしていた。

それが抜けてしまったのだから元の木阿弥、陣容としてはこころもとないばかりだ。

もしかすると「10勝した黒田博樹」の引退よりも、「影のコーチだった黒田博樹」の不在の方が切実な問題だったのかもしれない。

 












2017年5月11日木曜日

鈴木誠也の貫禄とオーラ

5月10日の試合
広島 302000201-8
東京 020040001-7

勝 薮田2勝1敗 負 ルーキ1勝3敗 

本塁打 鈴木6号、7号 丸6号
    大引2号 バレンティン4号

新井がスタメンにもどり、エルドレッドが後ろに控えた心強さからというわけでもないのだろうが、鈴木誠也が2本のホームランを含む3安打5打点と、持ち前の豪打を発揮してチームを牽引。スワローズとの空中戦を制してカープにひさびさの勝利をもたらした。

この活躍に緒方監督が「もう4番目(の打者)ではないよ」とコメントしたのは、鈴木の4番当確宣言ととらえてもいいのかもしれない。

4番打者のプレッシャーもあるだろうから、いつか不調となれば新井との入れ替えや、しばらくの併用もあるかとも想ったが、それも杞憂に終わった。
彼は難なく離陸して真の4番打者に成長してしまったようだ。

プロ野球というまばゆい世界に身を投じ、そのなかでもひと際輝く存在になりつつある鈴木誠也という青年には、若干22才にしてすでに風格が漂っている。

それは彼の一挙手一投足からうかがえる視覚的なものでもあり、存在そのものに漂っている雰囲気からくる感覚的なものでもある。
いわゆるオーラというのだろう、それがひと際強く大きくなってきたということだ。

                        ✺

昨夜、カープの元投手であったO氏をゲストに招いて、『カープ学講座』と称してお話を聞く機会をもった。

彼が一軍で活躍した期間はそれほど長くはない。通算8年で成績は3勝に終わった。
けっして大成した選手だったとはいえない。
数年前に戦力外となって引退。いまは建築関係の営業をしている。

彼も一時は鈴木誠也選手のように、大きな成功をつかめる手前までいった。
しかし、ケガによってそのチャンスは潰え、二度と訪れることはなかった。

プロではそれほどの結果を残したわけではないが、O氏にも不思議なオーラがあった。
それはプロ野球というまばゆい世界でのものとは異質な、一般社会に身を置くようになってから放たれるようになったものにちがいない。

第2の人生を歩みはじめてまだ数年のO氏だが、彼も鈴木選手のような成長曲線を描いて社会に馴染んでいっているように見えた。

いまは人生のグラウンドこそ異なるものの、それぞれに輝きを放てる場所はあるものだ。



                        ✺

この試合の私的MVPは、いうまでもなく鈴木誠也選手だ。

それにしても、今回も3点を先制してもらいながら5回6失点という不出来で降板した大瀬良投手が気がかりだ。




2017年5月10日水曜日

菊池が復帰したものの…

5月9日の試合
広島 010000010000-2
東京 000200000001-3

勝 近藤1勝 負 中田2勝1敗 

本塁打 エルドレッド7号 大松1号

菊池が4試合ぶりに復帰。
先発は“最後の牙城”といってもよかった野村だったが、カープは延長12回にサヨナラ負け。
これでシーズン2度目の4連敗となった。

「やばいっす!」

そんな声がどこかから聞こえてきそうだ。

しかし菊池が入ると、さすがにチームはしまる。

8回にゲームを振り出しにもどした同点タイムリーも、彼の“存在証明書”とでもいいたいようなヒットだった。
それまで打ちあぐねて3安打に抑えられていたスワローズ先発のブキャナンからのものだけに、価値ある一発だった。

守備でも6回のバレンティンの打球だったか、センターに抜けそうなゴロに追いつき、振り向き様にスローイングしてアウトを捕ったプレイなどは菊池ならではのものだった。

ただ、そのときの菊池の表情が一瞬こわばったように見えたのは思い過ごしというものだろうか。

間一髪のアウト、セーフを焦ってのもの。
そのときはそう思っていたのだが、どうやらそうでもないらしいという気がしてきた。

また、ゲーム中に見せる彼の表情が終始さえないように見えていたことも気になっていた。

やはり「下半身の違和感」は完全には解消されていないのだろう。

                        *

某紙の記事によれば、「菊池は3度あった守備機会を無難にこなした」ということになっている。
先のプレイをファインプレイと見るのと、無難にこなしたととらえるのとでは、まったく視点がちがうだろう。

後者はあきらかに、菊池の動きを案じながら見ている。

もちろん、「下半身の違和感」から3試合欠場したのだから、それは当然のことでもあるのだが、その違和感が意外に深刻なものであることが行間から伝わってきたのだ。

長所と短所とは紙一重、表裏一体といわれる。

たとえば肩の稼働域。
これが広い投手は、人並みはずれたスピードボールが投げられる。
しかし稼働域が広すぎることで肩を痛めやすく、ルーズショルダーになる投手はすくなくない。

菊池の場合は優れた下半身の俊敏性、とくに膝の柔軟性があの脅威の守備範囲をもたらしているのだろうから、逆に負担もかかりやすいはずだ。

プロ野球という世界では、選手たちはぎりぎりの限界をさらに超えたところでプレイしている。
またそのようなレベルでなければ、プロには入れない。

当然フィジカルの負担は相当なもので、ほとんどのプロ野球選手は故障を抱えている。
ケガとどう折り合いをつけながらプレイできるかも、才能のひとつといってもいいほどだ。

菊池選手もそのうちのひとり、彼の違和感もそのひとつに過ぎないのだが、ここまで彼の存在感を買ってしまえば正直気がかりではある。

出なければ出ないで不満をいい、出たら出たで心配になっているのだから、勝手といえば勝手なものだ。

                        *

ところでお隣の東京ドームでは、阪神タイガースが難攻不落だったジャイアンツの“菅野城”を攻略して6連勝。
カープとのゲーム差を2と広げた。

チームの勢いだけを見ればカープとタイガース、すっかり攻守ところを変えてしまった。



2017年5月9日火曜日

閑話球題

上のスタメンボードを見て、あなたはきっと戸惑われたことだろう。

それこそ、いつもとはまったくちがった景色に見えるはずだ。

1番田中がサードで、ガンちゃんが2番?

あれ、丸は?
鈴木はどうした?

「坂井」は「新井」の間違いだろう?
内藤なんていうピッチャー知らんぞ、とか。

そう、これはカープ球団が誕生してはじめて迎えたシーズンの開幕スタメンなのだ。
これを見て、「そうそう、そうだった」と懐かしく思い出せるような方は相当に年季が入っているはずだ。

かくいう管理人も、記録の上でしかしらない。
まだ生まれない前のシーズンのことなのだ。

このスタメンがどのように組まれたのか、その背景めいたことなどは「カープ開幕スタメン名鑑」でお勉強してもらうとして、なぜ今回はこれをご紹介することになったかというと、この試合が行われたのが平和台球場だからなのです。

実は昨夜からYouTube用に「球場巡礼・平和台球場」の編集作業をしていて、それを今朝になってアップしたのですが、その作業中にこの試合のことをあらためて憶い出したのですね。

カープ初の開幕戦が当時ホームグラウンドの広島県営球場でもなく、セ・リーグ他球団の本拠地でもなく、つぎのシーズンからパ・リーグの西鉄ライオンズのホームグラウンドとなる平和台球場で行われていたというのがプロ野球黎明期らしいといえばらしい。

しかもカープと対戦した西日本パイレーツのほか、讀賣巨人軍、松竹ロビンスの4球団が参集しての変則ダブルヘッダーだったという、いまでは考えられないマッチングだった。

せっかくなので試合の結果もご紹介しときましょう。

 広島 012100100-5
 西日 00030012X-6
 勝 緒方 負 武智

カープは逆転負け、かつ惜敗してました。

でも勝ち投手が「緒方」。
敵チームのピッチャーですが、なんだか縁起がいいじゃないですか。(笑

ついでといってはなんですが、このシーズンの成績を。

 41勝96敗1分 勝率.299

順位は最下位の8位でした。

                       ❉

ちなみにYouTubeにアップした「平和台球場」はこちら。
よかったら観てやってください。















2017年5月8日月曜日

空振りに終わった苦肉のスタメン

5月7日の試合
広島 000000000-0
阪神 00020301X-6

勝 能見1勝2敗 負 九里2勝3敗 


先発の九里が6回もたずに5失点で降板。
いよいよ先発陣が総崩れの様相を呈して来た。

4回に先制された2失点は、またしても先頭打者への四球がきっかけとなった。
これでもかこれでもかのカープ投手の“四球失点だ”。

四球=失点=敗戦

が、いまはもうカープの方程式と化した感すらある。

打線も元気なく、今季4度目の0封負け。

これでカープは対タイガース戦3連敗。
同一カード3連敗は、2年ぶりのことで、昨季は一度もなかった。

3連敗も、今季すでに2度目。
ぼちぼち嫌な記録が顔をのぞかせはじめた。

                       *

前の試合で破綻したオーダーをテコ入れして、この試合では上のような先発オーダーを組んだ。

打撃は好調ながらセカンドで痛恨のエラーをした西川がはずれ、かわりに安部が二塁にまわった。
レフトには「練習で好調だった」という堂林。
「使ってみたかった」という緒方監督の“親心起用”で今季初スタメンとなった。

空いた三塁には、こちらも初スタメンのペーニャ。
一塁はにベテランの新井がもどって5番に入った。

この苦肉ともいえるオーダーの「結果が問われるシーン」が初回からやってきた。

1番田中がタイガース先発の能見から、レフトへ流し打ってのワザありのヒットで出塁。
2番打者だから2番目にはまわってくるわけだが、堂林にいきなり真価が問われる場面が用意された。

ここは送りバントかと思ったが、首脳陣は強攻策を採った。
練習で好調だった堂林に賭けて、いっきにチャンスの拡大をねらったということだろうか。

しかし堂林は期待に応えられず、あえなく空振りの三振。
ワンバウンドの、いわゆる“クソボール”に釣られて手を出してしまった。

結果を求めすぎ、ヒットをほしがりすぎてのスイングだったのは明らかだった。
ついでに書いておくと、この日の成績は4打数0安打3三振。緒方監督の期待に応えることはできなかった。

ということで2番堂林の起用は、三振。

どうみても堂林は2番タイプではないと思うので、できることなら7番あたりで気楽に打たせてやってほしかったのだが…。

                       *

せっかくだから、このメンバーだったらどのように打順を組むか。
極私的先発オーダーを考えてみた。

 1番 遊撃 田中
 2番 中堅 丸
 3番 右翼 鈴木
 4番 一塁 新井
 5番 二塁 安部
 6番 三塁 ペーニャ
 7番 左翼 堂林
 8番 捕手 會澤
 9番 投手 九里

丸の2番は消去法。かつて2番を打っていた経験値に期待してのものだ。

彼を3番から2番にしたため、そのまま打順を前倒した。
それで新井が4番目にもどった。

これはいきがかりでの結果だが、前試合で歯止めなき大逆転負けして“チュン太郎”になってしまった翌日でもあるので、気合いを入れる意味からもベテランの4番復帰は悪くはないと思う。

ペーニャは6番。
なんといっても初スタメンだ。これも「お気楽に」という配慮だ。

読めない選手を入れて打線のつながりを切りたくない、ということもってあって5番は好調の安部。能見には相性がよくないようだが…。

                        *

さて、試合のほうは堂林の打席で田中が二盗した。

ここから3番の丸、4番鈴木が連続四球で1アウト満塁となって、4試合ぶりに先発出場の5番新井に打順がまわってきた。

……。

しかし新井も、あえなく空振りの三振。
堂林と同じく、フォークがワンバウンドした“くそボール”を振っていた。

あの打席、初球は打ち頃の絶好球だったように見えた。
それを見逃したのに、彼の“迷い”のようなものを感じた。
勝負勘が鈍っているようにも見えた。

解説のK氏もいっていたが、新井は少し休ませ過ぎかもしれない。
まだ終盤どころか夏場にもなっていない。
まだ「疲れがたまる」時期でもないだろう。

グラウンドを離れ過ぎては、勝負勘が鈍って当然だ。
一度調子を落としてしまったら、それをもどすには休んだ時間の何倍も要することになるだろう。

“長期休養”の弊害が心配だ。

さて、5番のペーニャにもチャンスはまわってきた。
6回表、ノーアウト一二塁の好機。

そのペーニャも初球の難しいボールに手を出してセカンドへの凡フライの結果に終わった。

苦肉のスタメンだったが、結果的にはキーマン3人は3者三振。残念ながら機能することはなかった。

菊池の不在から生まれた、オーダーのヒビ。
これを修復しようとしているうちに、すべてが後手にまわりはじめたようにみえる。

いまのカープに残念ながら『2番セカンド菊池』にかわる選手はいない。

ついこの前までは、だれが抜けても、どの選手がベンチを暖めても、かわりがいくらでも現れる層の厚さに感心していたが、それはチームに勢いがあってこそのことだった。

ひとたびそれがしぼんでしまえば、厳しい現実が顔をのぞかせてきた。

菊池はつぎの試合からは復帰するらしいが、投手陣の弱体化もあり、しばらくは我慢の試合がつづきそうだ。

2017年5月7日日曜日

菊池のいない“堤防”の脆さ

5月6日の試合
広島 220230000-9
阪神 00001731X-12

勝 高橋1勝1セーブ Sドリス2敗12セーブ 負 薮田1勝1敗 

本塁打 丸5号

“逆転のカープ”が屈辱的な大逆転負けを喫した。

9点差をひっくりかえされての敗戦は1995年7月30日の中日戦以来22年ぶりだという。

まさに歴史的な事件、空前絶後ともいえる大敗。
その原因は、いろいろあげられるだろう。

岡田投手の突然の乱調。
継投の失敗。
中継ぎ陣の崩壊。
西川選手の手痛いエラー。
……

思いつくだけでも、これだけの理由があげられる。
これらが積み重なって、カープは信じられないような大敗をしてしまった。

ところが、タイガースの勝因がまったくわからない。

プロ初先発の福永投手が、ほとんど試合をつくれずに序盤に大量失点してノックアウト。
中押し、ダメ押しされての9点差。
集中力がきれたかのように繰り返されるエラーと、覇気が感じられない攻撃…。

完全に負けのスパイラルに飲み込まれてしまって、どうみても負けるしかない戦い方をタイガースはしていた。

それが気づいてみれば、あれよあれよという間に1点差まで詰め寄り、最後の最後にはカープを突き放してゴールしてしまった。

勝てない試合、あえていえば「勝ってはいけない試合」をタイガースは勝ってしまった。そんな当惑すら感じている。

1、2回に2点ずつ入れてカープが4点先攻した時点では勝利を確信して、先発の岡田投手をどのように褒めようか、そればかりを考えていた。

大学時代に地下足袋を履いてのトレーニングもしていたと小耳に挟んだので、その意識の高さについて書いてみようか、なんてノーテンキなことを思っていた。

そうだ、せっかくだからこの映像を紹介しよう、とか。(笑


                       ❉
ところがその岡田投手が5回に突然、荒れ出した。

「この点差だ。さすがに集中力が、一瞬切れたのか。」

メモにこう記した。
もちろん勝敗には関係なく、備忘録の経過メモだった。

そして6回。

「ここまでまったく合っていなかった中谷に四球。インコースへの抑えの効かなかったボール。
前の試合の加藤投手のリプレイを見ているようなボールだった。」

いやな予感の通り、

「やはり点になった。」

しかし、まだ負けるなどとは微塵も思っていない。

「勝つには勝ったが、あまり喜べない勝利だっただろう。」

などと結びのフレーズを、こうしようと決めてさえいた。

ところが6回のタイガースの攻撃が、いよいよ勢いをましてきた。

「とうとう泥仕合いになった。」

「西川がまたまずいエラー。菊池の不在が大きい。」

「これがタイガースの強さなのか。
あれだけのヘボをして大量点で負けていながら、じわじわと押してくる。」

そして6回のタイガースの攻撃が終わった時点でカープのリードは1点。

ここではじめて、負けを覚悟した。
と同時に当惑は膨らむばかりだった。

「まったくわからない。
(タイガースファンの)スタンドの異様な雰囲気か。
“応援が力になりました”
カープのヒーローインタビューで耳にする定番コメント。
まさにそういうことなのだろうか?」

                         ❉

こうまとめてみると、時系列で心境の変化が読み取れるが、やはりタイガースが勝ったこれという理由はみあたらない。

あえていえば、好調梅野選手がタイムリーであげた1点。
この小さな穴がカープ9点リードという“堤防”を決壊させてしまったということなのだろうか。

「得体の知れない強さ」を見せつけられたというしかない。

こんな相手とのデッドヒートがつづくのだ。
なかなか大変な事態になってきた。

これでカープは首位攻防戦に2連敗。
4月8日から守って来た首位の座から転落した。

22年前の大逆転負けの前にカープは5連勝していて、その試合の後は6連勝していた。
ジンクスにもならないただの前例だが、これが“ジンクス”になることを願おう。

繰りごとになるが、セカンドに菊池のいない先発オーダーの心もとなさを思わずにいられない。