—カープはなぜいつまでも優勝できないのか?
この疑問を球団の経営面からアプローチしてみたのが、拙著「マツダ商店(広島東洋カープ)はなぜ赤字にならないのか?」です。
その前に上梓していた「衣笠祥雄はなぜ監督になれないのか?」の続編ともいえるもので、2012年に上梓しました。
タイトルが刺激的すぎましたでしょうか、ベストセラーになっていた「さおだけ屋はなぜつぶれないのか?」と同類の会計関係の書と勘違いされて、意識あるカープファンのお手元にストレートにお届けすることができませんでした。
でもおかげさまで、そこそこ売れまして、広島の書店ではずっとベストセラーをつづけていました。
それが、いわゆる世に「カープ本」といわれる単行本、ムック本、雑誌などが溢れるようになってくると、それらにまぎれてしまって、いまは「小康状態をたもっている」そんな感じです。(笑
それまでカープ球団が出版に理解なく、地元の新聞社や出版社以外には非協力的で「球団公認」で本を出すなんて考えられない時代がすっとつづいていたことは業界では有名な話。
それがまるで「マツダ商店〜」を埋もれさせるかのごとく「公認」が乱発されるようになったわけで、関係の版元には拙著にいくら感謝してもしたりないと思うのですが…。(笑
それはさておき、その「マツダ商店(広島東洋カープ)はなぜ赤字にならないのか?」の巻末に「歴代オーナーの成績表」(2011年まで)を掲載しています。
いうまでもなく2011年といえば、まだカープが『いつまでも優勝できない街道』をひた走っていたころで、そんな体たらくにしてしまった球団経営者の「怠慢ぶり」を他のオーナーと比べてみようという試みで掲載したものです。
もちろん個人オーナー、ないしはそれに準じる人物が対象で、例えば読売ジャイアンツのように大組織の中の一部署であるところとか、出向の役職のような球団は取り上げていません。
その各オーナーの実績一覧が下記のとおりです。(2011シーズンまで)
主なプロ野球オーナーの成績表
氏 名 主な球団 所有年 優勝 A
有馬頼寧 セネタース 9 0 5
高橋龍太郎 高橋ユニオンズ 6 0 0
田村駒治郎 松竹ロビンス 17 1 2
永田雅一 大映スターズ 23 2 8
中部謙市 大洋ホエールズ 5 0 0
中部謙吉 大洋ホエールズ 22 1① 5
中部新次郎 大洋ホエールズ 13 0 2
中部慶次郎 横浜ベイスターズ 13 1① 5
松田恒次 広島東洋カープ 3 0 1
松田耕平 広島東洋カープ 32 6③ 13
松田 元 広島東洋カープ 9 0 0
松園尚巳 ヤクルトスワローズ 23 1① 4
大社義規 日本ハムファイターズ 31 1 12
大社啓二 日本ハムファイターズ 7 3① 2
重光武雄 ロッテ・オリオンズ 20 1① 8
重光昭夫 千葉ロッテマリーンズ 21 1① 2
堤 義明 西武ライオンズ 26 15⑨ 8
中内 㓛 ダイエー・ホークス 16 3② 3
孫 正義 ソフトバンク・ホークス 7 2① 4
宮内義彦 OX・ブルーウェーブ 23 2① 9
三木谷浩史 楽天GE 7 0 1
※丸数字は日本一、重光昭夫は代行として主なプロ野球オーナーの成績ランキング
赤文字は現役
この実績から各オーナーの評価を数値化して、わかりやすく比べてみようということです。
その点数はつぎのようにしました。
日本一になった場合は3点
優勝は2点
Aクラスにはいれば1点
これを加算した数字がオーナーの成績となります。
そのときの成績表が下記の表です。
① 堤 義明 西武ライオンズ 47点
② 松田耕平 広島東洋カープ 25点
③ 宮内義彦 OX・ブルーウェーブ 14点
④ 大社義規 日本ハムファイターズ 14点
⑤ 永田雅一 大映スターズ 12点
⑥ 中内 㓛 ダイエー・ホークス 11点
⑦ 重光武雄 ロッテ・オリオンズ 11点
⑧ 大社啓二 日本ハムファイターズ 9点
⑨ 孫 正義 SB・ホークス 9点
⑩ 中部慶次郎 横浜ベイスターズ 8点
⑩ 中部謙吉 大洋ホエールズ 8点
⑫ 松園尚巳 ヤクルトスワローズ 7点
⑬ 重光昭夫 千葉ロッテマリーンズ 5点
⑭ 有馬頼寧 セネターズ 5点
⑮ 田村駒治郎 松竹ロビンス 4点
⑯ 中部新次郎 大洋ホエールズ 2点
⑰ 松田恒次 広島東洋カープ 1点
⑱ 三木谷浩史 楽天GE 1点
⑲ 中部謙市 大洋ホエールズ 0点
⑳ 高橋龍太郎 高橋ユニオンズ 0点
㉑ 松田 元 広島東洋カープ 0点
同点の場合は優勝回数で、また所有年数の少ない順とした
これを見ると歴然でした。
球界に対する貢献度。球団への愛、そしてファンへのサービス精神。
そんなものが、はっきりとデータとして見て取れるようでした。
トップは堤義明氏でした。
西武ライオンズ黄金時代をつくりあげた名物オーナーですね。
力量が、はっきりと見てとれます。
そしてカープの松田耕平前オーナーがそれにつづきます。
やはりカープ黄金時代
この2球団の黄金時代。
その礎を築いたのがご存知根本陸夫氏でした。
カープでは初優勝のチームの基礎をつくり、ライオンズではGMとしてチームづくりに貢献した。
このような人物を招聘起用しチームづくりをゆだねる度量が、このふたりに共通していたといってもいいのかもしれません。
その耕平氏の跡をついだ元氏が、このオーナー成績ではドベでした。
しかも0点の「欠点」。
さみしい結果となりました。
同じく0点があとふたりいました。
しかし大洋ホエールズの中部謙市は、いまからというときに急逝してしまいましたし、高橋ユニオンズの高橋龍太郎氏は、『球界最弱』と謳われたチームを引き受けさせられてのことですから同情はされても、糾弾されるようなとはありません。
それに引き換え、元氏の場合は安定経営をつづけていた球団のオーナーを長くつづけながらの結果ゼロ。
9年もオーナーをつとめながらAクラス入りすらなかったのです。
これはいただけまんでした。
しかし、このデータ、成績もめでたく見直さなければいけなくなりましたね。
長年の低迷からおさらばして、とうとうカープが優勝したのですから。
そこで、このシーズンまでの成績を加味して前記のデータをあらためることにしました。
もしあなたもお暇でしたら、やってみてください。
点数はさっきお教えしましたよね。
それでは結果がでましたら、また。
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