2016年10月29日土曜日

シリーズを面白くした『大谷翔平』カードの使い方


広島は、いまのところ曇り時々晴れ、ときおり小雨が落ちてくる。そんな天気。

カープが北の大地で戦っているころ、こちらでは雨模様の天気がつづいていたが、きょうは大丈夫そうだ。
空にはしだいに青空が広がってきている。

ドームの閉塞感のなかで3試合を戦い苦杯をなめてきたカープの選手たちには、空に開放されたズムスタで気分一新して戦ってほしいものだ。

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きょうの日本シリーズ第6戦。
ファイターズの先発は大谷投手のはずだったが、あにはからんや栗山監督は増井投手を当ててきた。

理由はいろいろ取りざたされているが、そのひとつひとつがもっともで、たしかにそうすることで選択肢が広がるのには感心した。

さくっ、とまとめてみよう。

「大谷を第6戦の先発に使わない」ことで

 ①勝てる流れになったら大谷投手をクローザーで投入できる
 ②ビッグチャンスに打者大谷を代打で起用できる
 ③この試合を落としても最終戦の先発で勝負ができる
 ④そうなった場合、黒田博樹投手との投げ合いを演出してファンサービスができる
  (もちろんこうなったときも勝てるという判断があってのことだろう)
                    などなど

メリットが、これだけある。

逆に想定どおりに大谷投手を6戦に先発させると、万が一落とした場合に第7戦で大谷という「切り札」はまったく使えなくなってしまう。
選択肢は「第6選の先発」、これひとつしかなくなってしまうのだ。

なるほど。
さすがにペナントレースでホークスとの死闘をしのぎ勝った知将だけのことはある。
この柔軟な発想、奇抜な采配が、あの奇跡的なペナントレース制覇をもたらしたわけね。

もちろん第5戦を勝って1勝リードの余裕からの判断だろうが、この臨機応変さが栗山監督の真骨頂なのだろう。

前の投稿にも書いたように、日本シリーズの7戦をどう戦うかには、大別してふたつのアプローチがある。
短期決戦の4勝を先手必勝で取りに行くか、3試合は落とせるという逆算で采配していくかだ。
今シリーズの栗山監督は、あきらかに後者といえるだろう。

それとは逆に、カープの緒方監督は前者といえそうだ。
第5戦にあえて中4日でジョンソン投手を先発させて先攻を狙ったのは、そのあらわれだったろう。

この両者のちがいは性格、考え方のちがいもあるだろうが、監督としての経験値からもきているように思う。
短期決戦を近視眼的に取りに行って失敗してみなければ、なかなか後者の考えにはいたらない。

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ファイターズ側に「大谷カード」の選択肢がふえたということは、それに対するカープからすれば迷いの要因がふえたことになる。
大谷がどこで出てくるのか、どんな使われ方をするのか、その幻影とも闘わなければいけなくなった。
これはかなりのプレッシャーになることだろう。

もしかすると、これが「大谷投手を第6戦に先発させなかった」最大の理由かもしれない。
戦わずして勝つ、使わずして勝とうという戦略だ。

大谷投手は先日の試合で足首を痛めたといわれている。
もしそれが原因で登板を回避したというのが実情だとしても、すでに戦略は功を奏しているといってもいいだろう。

なかなかに、したたかだ。
「栗山カード」も、かなり強力だ。

かつてプロ野球にほとんど例のない二刀流がいることで、なるほど采配の幅が格段に広がるものだなぁ、とあらためて感心した。
それと同時に、野球の奥深さ面白さを再認識させてもらった。

いっぽうの緒方カープ。

札幌では救援投手が打ち込まれ、打線が湿ってしまい、つぎつぎにカードを潰されてしまった観がある。

この局面を緒方監督が、そして選手たちがどのように打開するのか。
どんなカードをどこで使ってくるのか、それも楽しみになってきた。

信じられないプレイを連発し、ありえない勝ち方でペナントレースを制してきたチームだ。
最後の最後に「神って」いたチームだったことを証明してみせてほしい。








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