5月27日の試合
広島 031302000-9
讀賣 000000000-0
讀賣 000000000-0
勝 九里4勝4敗 負 宮国5敗
本塁打 エルドレッド12号
その判断は尊重したいし、ダッグアウトで九里投手に握手を求めて労をねぎらった配慮にも敬服した。
とはいえ、やはり九里初完封のチャンスの芽を摘んでしまったことには頭を傾げざるをえない。
緒方監督はその理由を「先発ローテーションの頭数が足りないなかで交流戦を迎えるわけで、先を見越さないと」と語っていて、いうまでもなくフィジカル面の疲労を考えてということだった。
先発投手の球数が次回登板にどれほど影響するのかは知らないが、よほどデリケートなものであることはわかる。
そのことを投手本人の体感とは別に、監督としての経験則として彼が認知しているということはあるだろう。
しかしこの降板は、監督の思わくとはちがって皮肉にも近視眼的な措置になってしまったように思えてならないのだ。
完封の機会というのはそれほどあるものではない。
『ミスター完投』と称された黒田博樹ですらシーズンに1、2回できるかどうかの難事業だ。
これから近いうちに九里投手にそのチャンスが訪れるかどうかはわからない。
もしかしたらシーズン中にはないかもしれず、九里投手は“未完封投手”としてシーズンを終える可能性はすくなくない。
その黒田博樹は「優勝を経験したことのない投手は一流とは認められない」と、FA権を行使して「優勝できるチーム」を求めてカープを去っていった。
優勝しているかどうかは、それほど投手本人にとって大きな意味を持っている。
だとすれば「完封したことすらない投手」が一流投手とは認められだろう。
『未完封投手』
周囲からはそう見られるだろうし、本人はいつまでも殻を破れないままだ。
ゲーム後にヒーローインタビューを受けていた九里投手。
あのとき「初完封おめでとうございます」とマイクを向けられていたら、すでに彼は投手として別物になっていただろう。
そう、「一流投手」と周囲から認められる投手になっていたはずだ。
緒方監督はペナントレースを大局的にとらえて「九里投手の体力を温存した」わけだが、それは逆に目先の利に走った采配だったように思う。
いまローテーションの頭数にこだわって九里投手をローテーションで投げさせつづけるのと、その九里に代えて『一流投手九里』を加えて戦うのとでは、投手陣の厚みはまったくちがうものになったのではないだろうか。
8回で降板させたメリットは、たった1回分のフィジカル面でのことでしかない。
もし続投させて九里投手が完封でもしていれば、これから先のペナントレースでの彼の投げっぷりはまったくかわったものになった可能性が高い。
堂々の『完封ピッチャー』として…。
そんなイメージが頭に浮かぶいま、やはりもったいない投手交替だったとしか思えない。
15安打で9得点の完封勝ち。対ジャイアンツ戦は22年ぶりという6連勝を飾った試合だったが、すこし後味に苦さが残った。
✺
ということで、この試合の逆MVPは緒方監督。
というのは冗談で、残念な思いと同情をこめて私的MVPは九里亜蓮投手だ。
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