2017年4月10日月曜日

九里のバッティングに見た黒田の影。

4月9日の試合

東京 0020-2
広島 01050X-6

 勝 九里2勝 負 星1敗


初対戦のオーレンドルフ。
両手を大きく振りかぶって投げる、なんとも懐かしいフォームから繰り出されるボールはそれほど球威があるようにも見えなかった。

スピードガンで表示される数字も140キロ中盤。変化球もそれほど厳しい球種はなさそうに見えた。

「いつでも打てそう」というタイプだ。

それでカープの流れに思えたが、ふと気づけば5回を終わって1点のリードのみ。
捉えどころがないのか、要所を締められて突き放すことができない。

メジャー30勝とかの実績はダテではなかった。

このオーレンドルフ。
5回に田中に長打を喫し菊池に犠打で送られた1アウト三塁のピンチを切り抜けると、6回裏は別人のようになった。

マウンドで弾むような仕草を見せ、フォームも躍動してきた。

ズムスタのグラウンド、雰囲気に慣れてきたところに、ピンチを脱して気持ちが乗ってきたのだろう。

ゆったり振りかぶってから、クイックで投げたり、サイドから投げてみたりと、まさに「手玉に取る」そんな感じだった。

しかも彼には球数制限の契約はないのか、100球を超えても平然と投げている。

鈴木が見送りの三振、エルドレッド内野フライ、安部も三振。
簡単に三者凡退に切って取ったのが攻撃にいいリズムを生んで、ヤクルトは次の回に2アウトから代打大松に2点タイムリーが出て逆転。

これでオーレンドルフは勝ち投手の権利を得た。
彼はゲームの駆け引きを知っているクレバーなピッチャーのようだ。

ところが、今のヤクルトにカープを突き放して勝ちきるだけの勢いがないことははっきりしていた。

そのことを証明したのが、ヤクルト自身というのだからがなんとも皮肉な展開だった。

オーレンドルフに変わって登板のルーキーピッチャーの星が、ズムスタの異様な雰囲気に呑まれて制球定まらず、やっちゃいけない先頭打者への四球。

ショートの大引がファンブルすれば、バレンティンが落球と、「なんとしても勝ちませんよ」といわんばかりにミスの連発。

たまりかねて送り出したルーキ投手にボークまで出て、カープが一挙5点を奪って逆転。
ここで勝負は決まった。

好投していた九里に代わって「危なっかしいジャクソン」が、お約束のノーアウト満塁の場面を作ってくれても最後のツメを遠慮してくれる。

いまいち調子が出ていない中崎が中村、西浦に連打されてのチャンスもゲッツーで芽を摘み、最後は坂口の三振で締めてジ・エンド。

4連敗中のチームと6連勝中のチームの勢いがそのまま出たゲームだった。

                   ❇

これで九里はヤクルト初勝利のおまけ付きの2勝目。
巨人が負けてチームは単独首位におどり出た。

それにしても九里の、あの執念は今までどこに潜んでいたのだろうか。

4回裏のバッターボックス、2アウトでランナーを二塁に置いた場面。
結果はファーストゴロだったがカット、カットで逃げて、オーレンドルフに8球も投げさせた。

腰を引きながらも投げるようにバットを出して食らいつく。
まるで黒田博樹投手のバッテイングを見ているような気がした。

「黒田が抜けた穴は自分が埋める!」
そんな気概がひしひしと伝わってきた。

「栗より甘い十三里」は焼き芋屋の宣伝文句だが、きのうの九里を見ているとこうもいいたくなる。


「甘いと笑え九里13勝!」


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