讀賣 000000000-0
広島 00001000X-1
広島 00001000X-1
勝 大瀬良1勝 S 今村 1敗4セーブ 負 宮国2敗
3連戦初戦に菅野投手に完封負けを喫したリベンジを果たした。
大瀬良投手が2年ぶりの先発勝利。それも運でもツキでもなく力でもぎ取った正真正銘の勝利だ。
この間たしか中継ぎで4、5勝はしているものの、同じ勝利でも実感する重さ、感じる喜びの大きさは雲泥の差だろう。
1対0で凌ぎを削りながらの7回無失点投球。
正直いって、こんな勝ち方を彼がするとは思っていなかった。
緊迫した展開では彼のメンタルがもたない。
ここ最近の投球には、それがはっきりと現れていたからだ。
「マウンドに上がるのが怖いんじゃないか」
そんな風に見えてもいた。
どんな投手だってマウンドに上がるまでは緊張はするだろう。
開幕戦のマウンドなどは「逃げたくなるほど」の重圧がかかるものだという。
それでも投げはじめて1アウトを取れば、たいがいの投手は落ち着いてくるものだ。
ところが先発を外され中継ぎで投げていた頃の大瀬良投手は、ずっと1アウトも取っていないような心理状態で投げていたように見えた。
「2アウトを取っても、手痛い失投で大逆転された」
そんなトラウマに、ずっと気持ちが支配されていたのだろう。
逃げたくなるような緊張感を通り越して、上がりたくない恐怖心だ。
同じ背番号を背負っていた津田恒美。
後年は“炎のストッパー”と形容されるほど、闘志むき出しにバッターに向かっていた彼も、マウンドを怖がっていた時期があった。
気持ちは優しいもののマウンド度胸だけはあるように見えた津田だったが、やはり大事な場面で打たれつづけたトラウマに圧し潰されたのだった。
その彼が燃えるような闘志をマウンドで発揮しだしたのには、もちろんあるきっかけがあった。
巷間伝わっているのは「弱気は最大の敵」。
高校時代に教えられたこの言葉を、あらためて座右の銘として意識してマウンドに上がるようになって、彼は変わったと。
津田が自らの気持ちの弱さを受け入れ、この言葉を血肉としたことから変わったように、大瀬良投手にも意識するしないに関わらず何かのきっかけがあったのだろう。
「いつもは抑えようという気持ちが過ぎて球が上ずるので、気持ちもコントロールした」
「失策がらみで失点するのが悪いところ。自分の責任と思って踏ん張った」
「中継ぎの経験も生かしながら、1球1球ていねいに投げた」
こんなことばからは、しっかりと過去の失敗と向き合ってきた大瀬良投手の姿が偲ばれるる。
「失敗は成功の糧」
そんなことばを今、彼は身を持って実感していることだろう。
「弱気は最大の敵」と書かれたボールをじっと見つめていたという津田恒美。
そうして自らの弱気を認めながら気持ちを奮い立たせた彼と、自らの失敗経験と正面から向き合った大瀬良投手とが重なって見える。
津田と同じようにトラウマに打ち克ってつかんだこの勝利によって、大瀬良投手は大きな自信をつかんだはずだ。
彼がどんな形容が付与される投手になっていくのか、いよいよ楽しみになってきた。
✲
大瀬良投手は「マラソン選手のようになりたい」と、スタミナをつけるための食生活の見直しにも取り組んだという。
そのマラソンに例えれば、少しペースを上げたカープを追走できずにジャイアンツが遅れはじめ、この日甲子園で勝ったタイガースが、いつの間にかジャイアンツと入れ替わって2位になった。
このところ日々のゲーム展開も面白いが、ペナントレースそのものもめまぐるしく変わって、身を乗り出すような興奮を覚えている。
「やっぱりプロ野球はこうじゃなくっちゃ」
その甲子園では次節にハマスタで戦うベイスターズの筒香選手が今季初ホームランを放ち2安打2打点の活躍だった。
ようやく主砲に火がついたことでベイスターズにも勢いがついたことだろう。
明日からの3連戦も、きっと白熱したゲームとなるはずだ。
ちなみに、この試合の私的MVPは言うまでもなく大瀬良大地投手。
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