広島 030000130-7
東京 031000000-4
東京 031000000-4
勝 一岡1勝 負 石山1敗
野球はタイムを競うゲームではない。
1対1の相手と得点の多寡を争うゲーム。
そのことをあらためて考えさせられた試合だった。
カープが5連敗を免れたのは、自力によって打開したというよりも、相手チームのスワローズのまずい試合運びによるものが大きかった。
はっきりいえば、スワローズが勝手にズッコケてくれたのだ。
連敗の泥沼からなんとか脱出するにはいくつかのケースがあるだろうが、この試合のように「他力で勝つ」という展開などは一例だろう。
まあそれも実力といえば実力なのだが。
*
そのカープ連敗脱出劇の主役を買って出てくれたのは、スワローズ先発のオーレンドルフだった。
2回表のカープの攻撃。
オーレンドルフは2アウトを簡単に取ってから、あろうことか、8番の会沢、つづけてピッチャーの九里にまで四球を与える一人芝居だ。
ここで前回にヒットを打って気をよくしている田中。
2ボール2ストライクから真ん中高めに甘く入ったチェンジアップを見逃すはずもなく、センターに弾き返して2点タイムリー二塁打。
さらにつづく菊池が見事なセーフティスクイズを決めて、カープが3点先制した。
まさにカープが連敗中にやっていたことを、リプレイで見せられたようなシーンだった。
スワローズのマズいディフェンスというか、カープにすればラッキーなこの3点でゲームは圧倒的にカープが優位に進められるハズだった。
ところがその裏、九里が5番の雄平から3連打を浴びるなどして、あっさり3失点。
4連敗中のチームの「流れの悪さ」が露呈して、すぐに同点に追いつかれてしまった。
さらにつぎの3回裏には、またも雄平にソロホームランを喫して1点のビハインド。
優位どころか、これでカープの5連敗への流れは加速してしまった。
「またきょうも負けか」
そう覚悟したファンもすくなくなかっただろう。
そして5回にはスワローズに、絶対のチャンスがめぐってきた。
九里がこの回もしまらず、ワンヒットと四球で1アウト一、二塁。ここでワンポイントで救援した飯田も好調の雄平に内野安打されて1アウト満塁のピンチ。
スワローズにすれば大きなチャンスがめぐってきて、ここで加点して勝負を決めなければいけない場面だった。
しかし、ここでマウンドにあがった中田が6番中村を捕手へのフライ、つづく西田を三振にきって、ぎりぎり踏ん張ってみせた。
もちろん中田の気迫がまさったということだが、裏返せば突き放せなかったスワローズの側に流れの悪さがあったわけで、その源流はオーレンドルフの不用意な四球連発からの3失点にあったことは否めない。
こうなればゲームの流れは逆流してしまう。
7回に丸にひさびさの2号同点ホームランが生まれると、8回にはスワローズの守備の破綻からもぎとった1アウト満塁のチャンスに、一軍登録されたばかりの西川が2点タイムリーヒット。つづく絶好調田中もタイムリーを放って3得点して、スワローズにダメを押してカープはようやく連敗のトンネルから抜け出すことができた。
この回には西川とともに一軍にあがったばかりの野間も代走で起用されて、ホームベースを踏んでいる。
ふたりが8回のカープの猛攻の“起爆材”になったわけで、タイムリーな血の入れ替えが成功したということだろう。
まさにベンチワークのヒット。
これでカープはまたいい流れに乗って戦っていけそうだ。
*
ちなみに、この試合の私的MVPは中田廉投手。
この試合に限らず、彼のここまでの活躍はめざましい。
2014年シーズンの酷使がたたって肩を故障したが、部位が部位だけに正直ここまで復活するとは思っていなかった。
知人が寮近くをランニングする姿を再々目撃したといっていたが、彼の地道な努力が報われたのがうれしいではないか。
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