2017年4月26日水曜日

一球の失投が明暗を彩った好ゲーム

4月25日の試合
讀賣 000100000-1
広島 0000000-0

勝 菅野3勝 負 野村1勝1敗 本塁打 マギー3号



前の試合で殊勲者となった西川が、さっそく7番サードでスタメンに名前を連ねて純和風のオーダーになった。

スコアボードからカタカナの名前がひとつふたつが消えるたけだが、印象はまったくちがう。
この日も新井がベンチスタートとなったこともあって、これまでとチームの性格がまったくちがって見えるから不思議だ。

「迫力」が「躍動」するイメージに変わったとでもいうのだろうか。

結果的にはカープはジャイアンツ菅野投手に完封されてしまったわけで、このオーダーの軽量級のイメージが、菅野に投げやすさをもたらしたということもあったかもしれない。

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ところでこの試合、3回表のジャイアンツの攻撃が終わったところからテレビ観戦した。

ノーアウトで出たランナー(菅野)を送らずに得点できなかったジャイアンツの攻撃を「もったいなかった」ようにアナウンサーが伝えたあと、すぐにカープの石原が菅野からセンター前にヒット。これを野村が送って、いいリズムでカープの攻撃は進んだ。

しかし、多彩な変化球と威力あるストレートをコーナーに投げ分ける菅野の前に田中、菊池がともに倒れてチャンスは実ることはなかった。

そして、つぎの回のジャイアンツの攻撃のときだった。

3番坂本、4番の阿部を3球ずつで仕留めてツーアウトにした野村。

難敵ふたりを簡単に抑えて、あきらかに「乗ってきた」様子が見てとれた。
ギアがひとつ入った。そんな感じだった。

ここで5番のマギー。
初球を投じようと振りかぶったところをカメラが捉えると、心なしか表情も動作も軽快に弾みはじめたように見えた。

しかしその好調を自覚したところに一瞬の慢心が生まれたのだろう(もちろん本人にそんな気はなかったはずだが)、3球目にスーっと投げたカーブが真ん中低めに落ちるところを見事にすくわれてスタンドまで運ばれてしまった。

あのときテレビに大映しになった野村の様子をみて、嫌な予感が脳裏をかすめていた。

「やられなきゃいいが…」と。

その予感が的中してしまった。

このようなケースは、いままで何度も目にしてきた。

かつてカープに在籍してジャイアンツに移籍した左腕のA投手などは、その一例だった。
それがクセにもなっていた。

好調なときは尻上がりに調子を上げて行って、そのたびにギアがあがっていく。
気持ちも乗って行ってマウンドでどんどん躍動するようになってくる。

こうなると腕はフレフレ、球もキレキレになって相手チームは手も足もでなくなってくるのだが、そのうちテンポも早くなり勢いあまってフィニッシュの体が流れだしたら要注意だ。

「打てるもんなら打ってみろ」の気概が逆に隙となって、魅入られたように絶好球を配してしまう。

それを捉えられると、一気に崩れ出して大量失点しまうのが常だった。

あのときの野村投手に、一瞬、同じような慢心の影がかすめたのだ。

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それでも、まだ1点だ。
ゲームはどうなるかわからない。

カープにはその裏、さっそく2アウトながら三塁というチャンスがめぐってきた。
しかし、ここで安部がライトに会心の当たりを放ったが、好捕されて得点はならなかった。

つぎの回、ジャイアンツが得点圏にランナーを進めたものの、野村がきっちり抑えたのを見届けたところで、グラウンドで戦う選手たちには申し訳なかったが、抑えがたい睡魔に襲われて仮眠の床についた。

たぶんゲームはこのまま進んで、さっき取られた1点でゲームは決するだろう。
漠とした、そんな予感があった。

夜中に起き出してネットで結果を確認すると、案の定、あのマギーのソロホームランによる1点でカープは負けていた。

またしても予感は的中してしまった。

野村投手の投球内容は、けっして悪くはなかった。
8回を被安打5、1失点。110球の熱投だ、文句をいわれる筋合いはない。

打線の援護がなかったということだ。
とはっても、あの出来の菅野投手から1点をもぎとるのは至難のワザだっただろう。

まさに、あの1球に野村投手は泣くことになってしまった。

しかし、ここは野村投手のあの1球を責めるよりも、この1敗を嘆くよりも、カープ野村、ジャイアンツ菅野という一級の投手の投げ合いを堪能できたことをファンとして歓ぶべきだろう。

と、そういう自分は、その1試合をほとんど見逃してしまったのだが。









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